別の記事で教育支援センターについて書きましたが、学校以外の自分に合う場所を見つけられず、ずっと家で過ごしていた中学生もたくさんいます。
そのような中学生にとって一番心配なのは、やはり「高校進学」ではないでしょうか。
中学校に通えず、家でもあまり勉強できなかった事を考えると、入学できる高校なんてないんだろうな・・とか、入学できたとしても、急に毎日登校するなんてムリだ・・と思ってしまいますよね。
朝から満員電車に乗ったり、長い時間教室で授業を受けたり、考えただけでも気分悪くなりそう!ってなるの、とても良くわかります。
そんな状況での選択肢の一つとして、「通信制高校」があります。
不登校経験がある生徒も多く通っていたり、先生方の対応もとてもきめ細かい学校もありますので、通いやすいのではないかな、と思います。
実際、私の息子は中学校はなんとか登校できましたが、高校1年生のときに不登校になり、通信制高校に入り直して、3年間で無事に卒業しました。
そんな実体験を織り交ぜながら、教育支援センター勤務8年目の私が、通信制高校のメリット・デメリットについて、以下に話を進めていきます。
不登校の中学生が通信制高校に通うことのメリットとデメリットについて
「通信制高校」に通うかどうかを決めるに当たっては、まずは自分に合うかどうかを知る必要がありますよね。
そこで、「通信制高校」に通う場合のメリットとデメリットを、以下に簡単にまとめてみました。
不登校の中学生が通信制高校に通うことのメリットは?
・毎日登校しなくても良い
基本的には自宅で学習し、レポートを提出します。
但し、スクーリングといって、定められた時間数の授業を受けなければなりません。
登校の日数や内容は各高校により異なり、少ない高校では、月1~2回のところもあります。
・学年制ではなく、単位制
3年以上在籍し、毎年自分で科目を選んで授業内容を組み立てて74単位を習得すれば、高校卒業資格を得られます。
・留年がない
学年制ではないので、必ずしも3年で卒業しなければならないという訳ではありません。
もし、修得できなかった単位があれば、次年度にその単位を再度学習しなくてはなりませんが、「留年」ではありません。
・入試に学科試験がない場合もある
中学校に行けず自宅学習していた場合は入試が心配でしょうが、作文と面接のみという学校もありますので、入試要項を調べてみてください。
面接は、学校の教員のアドバイスを受けるのが無理なら、家で何回か練習することで、当日の緊張感を減らせるでしょう。
また、作文の題目は当日にならないと分からない場合がほとんどですが、過去に出された問題を例に(例えば「将来の夢」とか、「どのような高校生活を送りたいか」など)、1パターン作成しておくと良いかもしれません。
当日、違う題目が出題されたとしても、それを基本にアレンジできますから。
また、入試がないからと言って全く勉強しないのは良くありません。
自分のペースで構いませんので、教科書の基礎は学んでおいた方が、高校に入学した後も勉強で苦労せずに済むと思います。
(とは言え、まだ勉強するエネルギーがない場合は、無理にする必要はありません。
本人が勉強する気持ちになれば、いくらでも取り戻せると思います。)
自宅で学べるオンラインレッスンを利用するのも良いかもしれませんね。
下記の教材なども、ご参考になさって下さい。
不登校の中学生が通信制高校に通うことのデメリットは?
デメリットとしては以下の通りです。
① 学校の授業の様に時間割が決められているわけではないので、全て自分で管理しなければならないため、それなりの努力は必要です。
レポートでの学習が中心ですが、やはり期限がありますからね。
② 登校日数が少ないし、学校行事(学校祭など)がほとんどない場合もあるので、友人関係を築くには、ある程度の積極性が求められるということ。
誰かが話しかけてくれるのを待つだけでなく、自分から話しかけてみるなどの努力をしなければならないかも..。
まずは、将来の自分を心に描き、自分の努力で実現させる!という意思が必要ですね。
実際に通信制高校に通った経験談
では実際の例として、我が息子はどのようにして通信制高校を3年間で卒業したのかについてお話したいと思います。
冒頭でも述べましたように、複雑な思いを抱えつつ高校に入学したものの、1年生の1月には出席日数が足りず、留年か退学かの決断を迫られました。
意外ときっぱりしていて「留年はいやだ。従って、通信制高校に入り、1年生
からやり直す!」と、さっさと決断しました。
そこで、親子で個別相談に行き、お話を伺うと・・・
「お母さん、通信制高校は昔のイメージとは全く違います。
今は、夢があるからこそ、全日制ではなくむしろ通信制を選ぶ人も多いのです。
例えば、美大を目指しているから、ひたすら絵を描きたい。
ゆえに、毎日登校している暇はない!とか・・・。
当校は、テレビ・ラジオで授業を視聴できるので自分でしっかり学習でき、レポートも提出できます。(私も視聴してみましたが、かなり分かり易いです。)
卒業率も80%以上です。」との力強いお言葉に妙に納得し、めでたく(?)入学。
そして、新たな高校生活が始まるのですが、これがそんなに甘くはないのです。
勉強大好きな人なら良いのでしょうが、当然我が息子はそんなタイプではなく、レポートを期限内に提出する事に大変苦労しておりました。
わかっているのにできない・・・
まあ、私もそちら側の人間なので、気持ちは良くわかるのですよ。
でも、ほぼ毎回、期限の前日に近くのポストの最終回収時間を目指して、サンダルのまま全速力で突っ走る!というのはいかがなものか・・。
よく車にぶつからなかったなあと、今でもゾッとします。
(インターネットで提出するコースもありましたが、息子はそちらを選ばなかったので)
スクーリングは、月に2回程でした。
(母としては、お弁当を作る回数が少なくて助かる~)
男女の友人もでき、それなりに楽しそうにしていました。
また、年上の方も多く、人生のアドバイス等もいただいていたようです。
制服はなく、服装は全く自由でした。
年一回の校外学習や、日帰りの修学旅行もありました。(働いている人も多いため、泊まりはないとのこと。)
ここで、少しアドバイス。
他の人と行動を共にするのはまだちょっと苦手だな~という人は、行事がない、または少ない高校を選ぶと良いかなと思います。
そして、高校の説明会で担当者から聞くメリットのみが全てと思わず、入学してからの細かい気遣い(学習面の遅れや、行けなくなった時の対処)などについては、口コミを確認したり、実際に見学に行き、学校の様子を感じてみるのも大切だと思います。
さて、息子の体験談に戻りますが、時々陸上部ランナーのような事をしながら、(ポストまで猛ダッシュ)なんとか3年で卒業できることに。
すると、本人が「今まで家にこもっていたので、大学は通信制ではなく、普通の大学に行きたい。」と言ってきました。
そこで、「通信制高校生や海外帰国生徒等が受験する枠」を受験をして入学、4年間を過ごしました。
様々な種類の受験方法がありますので、チェックしてみて、自分が得意そうな試験にチャレンジしてみてはいかがでしょう。
受験をしなくても、高校によっては内部推薦や指定校推薦があるので、利用してみても良いと思います。
まとめ
この記事を読んで下さっている方は「今、実際に登校できていないのに通信制高校とはいえ、本当に大丈夫かな?」と不安に思われるかもしれません。
心配なのは当然ですが、自分の将来が100%見えている人なんていないと思いますし、万が一うまくいかなくても、そこでまたやり直せばいいのです。
人生って、そういうものですよね。
ですので、あまり恐れることなく、まずは自分のペースで通える通信制高校を選択肢に加えてみても良いのでは良いのではないでしょうか。
ここまで通信制高校について話を進めて来ましたが、各校、説明会や見学できる日がありますので、詳しい内容は、ご自身でご確認下さい。
何度か見学に行くことで、高校の職員の方々に顔を覚えていただき、自分の熱意を伝えるのも良いと思います。
最後に、中学校に登校できなくても、学校と連絡を取り合っておくのはとても重要だと思います。
不登校であってもその中学校の生徒ですし、高校受験に関しての手続きは学校でなければできませんから。
まずは、小さな一歩で小さな幸せ、見つけられるといいですね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。